東京都知事選が今日告示されました。12月4日公示の衆院選と投開票日(
12月16日)が重なるダブル選挙となります。

 ところで、日本の地方自治制度というのは、住民の直接選挙で選ばれる大統
領制に似ており、首長の権限もそれに準じています。

 議院内閣制度下の内閣総理大臣は、物事を決めるには基本的に閣議に諮る必
要がありますが、知事や大都市の市長というのは行政の事については基本的に
単独で決定し、政党にとらわれることなく政策を推し進めてゆくことができま
す。また、知事には、内閣総理大臣のように議会の不信任決議で退陣に追い込
まれたり、政争により「死に体」になってしまうケースはまずありません。

 言うまでもなくその最もたる存在が東京都知事です。2009年のデータで
すが、東京都のGDP(域内総生産)は約85兆円(日本全体の18%強)で、
スウェーデンやノルウェー、オーストリア、ギリシャなどの経済規模を遥かに
上回ります。

 また、昨年度の東京都の歳入は約6兆2千憶円で、歳入に占める税収の割合
は国や他の地方自治体は5割を下回っていますが、東京都の場合には歳入の約
7割を税収でまかなっているため、国の干渉をあまり受けずに政策を推進して
いけます。東京都の全会計合計の規模は11兆円に達し、小国の国家予算を凌
駕します。

 1000万人有権者の直接投票で選ばれ、国家並みの経済規模と予算を動か
し、警察、消防、教職員を含め16万人の都職員の頂点に立つ東京都知事は、
日本国内にあってあたかも独立国家の大統領のような存在で、そのような大き
な権限を思う存分使い、そうした存在であることを公に知らしめたのが石原前
都知事だったように思われます。

 その都知事の地位を争い、今回は8人が立候補しています。