毎日早朝から通勤電車に揺られ、夜遅くに残業を終える・・・忙しい現代社会にあって、こんな朝星夜星の生活を送るビジネスパーソンは少なくないだろう。

しかし、そんな生活を続けていたら、仕事の効率が上がらないばかりか、体を壊すおそれも! 睡眠時間を削ると体に様々な悪影響が出ることが、いくつかの研究で裏付けられているのだ。

切ると死亡リスクが跳ね上がる
睡眠時間が6時間を切ると影響はこんなにもはなはだしくなる、という研究結果がサイト「Sleep Review」(2015年9月22日)に紹介されている。

記事によると、カリフォルニア大学サンフランシスコ校などの研究チームが、事前チェックを受けた164人のボランティアをホテルに隔離し、安全に配慮しながら風邪のウイルスを与え、1週間にわたって睡眠時間とウイルス定着の関連を調査した。その結果、6時間以下の睡眠時間だった人は7時間以上睡眠を取る人より4.2倍風邪にかかりやすく、5時間以下の睡眠では4.5倍にもなることが分かったという。

日本の研究でも、自治医科大学が行ったものとして、健康な男性では睡眠時間が6時間未満の場合、7~8時間の睡眠と比べて死亡する危険度が約2.5倍に上昇するという報告がある。

慢性睡眠不足状態は2晩の徹夜に匹敵
睡眠時間の確保の重要性は過去にも指摘されていた。米学術誌「Sleep」(2003年3月発行)には、ペンシルベニア大学の研究チームによる興味深い調査結果が掲載されていた。

その梗概によると、21~38歳の健康な成人48人を4時間睡眠、6時間睡眠、8時間睡眠の3グループ(2週間実施)と、3晩連続で徹夜するグループの4つに分け、毎日アンケートに答えたりテストを受けたりのタスクを与える実験を行った。

すると4時間睡眠と6時間睡眠のグループは、すべてのタスクにおいて大幅に認知能力が低下し、最終的には徹夜グループが2晩徹夜後に行ったタスクと同じ程度にまで認知能力が低下する状況がみられたという。つまり、何日も6時間以下の睡眠を続けると、2晩徹夜した状態と変わらなくなる、ということだ。