2012年10月

ご記憶の方も多いかと思いますが、今から26年前(1986年)の本日1
0月29日、大蔵省がNTT株の売出価格を1株119万7000円に決定し
ました。6倍を超える大人気となり、翌87年の4月22日には史上最高値3
18万円まで上昇しました。


ところで、秋も深まり、山も空も川もきれいで、おいしい食べ物がたくさん
あります。それを象徴するかのような「秋味」という言葉があります。

秋、産卵のために河川に帰ってくるサケのことを、東北や北海道では「秋味
」と呼びます。秋サケのことです。サケは主に春と秋に捕られますが、春に捕
れるサケのことは「時知らず」といいます。方言や俗語を集めた江戸期の辞書
「俚言集覧(りげんしゅうらん)」で、すでに「秋味、鮭(サケ)を云(い)
う」とあります。

元々はアイヌ語で「秋の魚」という意味の「アキアチップ」にルーツをもち、
これに「秋味」の字があてられたようです。アイヌ人のたんぱく源は主に鹿肉
で、秋に捕れるおいしいサケは季節を感じるうれしい味だったに違いありませ
ん。サケは、和人(日本人)との貴重な交易品でもありました。

いまやサケは最も身近な魚の一つです。温かいご飯にのせる真っ赤なイクラ
も格別です。四季それぞれに、それぞれの食べ物の味を楽しむ喜び、これがま
た格別です。

通常、年2回収穫される蕎麦(そば)は春蒔きの夏蕎麦と夏蒔きの秋蕎麦に
区別され、今はちょうど秋蕎麦の収穫時期で、新蕎麦を味わうのがこの時期の
楽しみの一つとなっています。

一般的には、夏蕎麦よりも秋蕎麦の方が好まれる傾向があります。自家製の
蕎麦を挽いている店や馴染みの店の新蕎麦であれば間違いありませんが、日本
各地で栽培される蕎麦の収穫時期は地方によって異なり、従って新蕎麦として
出回る時期も微妙に違ってくるということと、国内で消費される蕎麦の8割は
輸入される現状にあって、自身の舌で新蕎麦を見分けることはなかなか難しい
と言えます。

ちなみに現在は、製粉技術の進歩により蕎麦殻や甘皮が混じらない蕎麦が挽
け、白い蕎麦が作れるようになったそうです。白い蕎麦と黒い蕎麦は、蕎麦の
割合が多いと黒くなると思われがちですが、蕎麦粉の割合というよりも、風味
やその他の理由で白黒の違いが生じている場合が多く、一般的には更科蕎麦や
御膳蕎麦は色が白く、藪蕎麦や田舎蕎麦は黒っぽい蕎麦となります。

関東地方で冷たい雨が降った「霜降」の日の今日、神戸市立六甲山小学校で
は石造りのストーブに点火する恒例の「火入れ式」が行われました。風の冷た
くなるのを感じるとともに冬支度を意識する季節です。

ところで、昔の暦(太陰暦)は月の運行を基準にしていたことはご存知のこ
とと思います。

月の満ち欠けは1年に12回ありますが、その周期はおよそ29.53日で
あるため1年の長さは現在よりも11日短い354日となってしまいます。こ
のズレを補正するために、19年に7回の閏月を設け、その年(閏年)は1年
が13カ月となります。

それでも太陰暦で3年経過しますと、同じ月日でも、季節は一月分ずれてし
まいます。昔は主に狩猟や農耕で暮らしていましたので、季節の巡りを正しく
判断できないということは不便であるというだけでなく、生き死ににも関わっ
てくる大きな問題です。

季節の巡りは地球と太陽の関係です。そこで、太陽の高さを元にして、季節
を表すために考え出されたの二十四節気です。

太陽が一番高い位置に昇る日を「夏至」、反対に一番低い日を「冬至」とし、
それぞれの真ん中が「春分」と「秋分」、これで1年が四等分され季節が分か
りやすくなります。さらにそれぞれの真ん中には、季節の初めを意味する「立
春」「立夏」「立秋」「立冬」が配置されます。

この八節を、気候や動植物、農事などを表す言葉で三分割したものが二十四
節気(約15日間隔)で、さらに約5日ごとに細分化したものが七十二候です。

次の二十四節気は暦の上で冬到来を告げる「立冬」。これからますます風が
冷たくなってまいりますので、皆さまにおかれましてもお身体には十分に気を
つけお過ごしくださいませ

本日は大安、そして「霜降」(そうこう)です。虫の音も減り、秋も一段と
深まって東北地方ではこの頃から露が冷気によって霜となって降り始めます。
そして、もみじや楓は紅葉します。

 2004年(平成16年)の本日には新潟県中越地震(マグニチュード6.
8)が発生。68人が死亡し、重軽傷者は4795人、全壊住宅は3175棟
に上りました。


 ところで、「アユ」と言えば、旬の夏にこそ味わう魚、というイメージが強
くあります。しかし、晩秋に向かうこの時期、各地の河川では、地元の人々が、
腹に卵を抱えた子持ちのアユ(落ちアユ)に舌鼓を打っているそうです。

 アユは海に近い河口で生まれ、一度海に出て稚魚となり、やがて春になると
川の上流へ向かって上り成長します。秋風が吹く頃になりますと、産卵するた
め再び海を目指して川を下り、河口付近で産卵します。

 落ちアユとは、この秋の産卵期に川を下ってきたアユのことです。アユの名
の由来には諸説あるようですが、秋に川を下る様子から、「落ちる」の古語で
ある「あゆる」が転じてついたとも伝えられています。

 「落鮎(あゆ)の身をまかせたる流れかな」(正岡子規)とうたわれるなど
落ちアユは秋の季語ともなっています。

 炭で塩焼きにした子持ちのメスの落ちアユはプチプチとした食感が広がり、
春や夏のアユがさわやかで若々しい味が魅力なら、こちらは円熟味のある大人
のうまみといったところです。

 秋の産卵が終わると死んでしまうアユ、年魚と呼ばれる由縁ですが、落ちア
ユの味わいには、その短い一生分のうまみが凝縮されているようです。

ボラは秋から冬にかけてが旬で、外湾で獲れた鮮度の高いボラは臭みもなく、
刺し身の美味しさはタイにも劣らないと言われます。

 ボラの胃の幽門は「ボラのヘソ」と呼ばれ、こりこりとした食感の珍味。卵
巣を塩漬けにした「からすみ」はウニ、コノワタと併せて「日本三大珍味」と
呼ばれ、高級な酒肴として有名です。

 ただ、東京湾などの内湾で獲れたボラにはドロ臭いものが多いことや、本来
の目的である魚を釣るのに邪魔になることがあるため、ボラを嫌う釣り人も少
なくないようです。

 ボラは古くから食用にされてきた魚で、ブリやクロダイ、スズキなどと同様、
本来は縁起の良い出世魚です。

 地方によって呼び名は違いますが、関東ではオボコ→イナッコ→スバシリ→
イナ→ボラ→トドと名前が変化します。日本人と馴染みが深いボラから派生し
た言葉も少なくありません。

 例えばボラの稚魚名そのものの「オボコ」は、うぶな世間知らずという意味
で使われ、幼い様子や可愛いことを表す「おぼこい」の語源ともなっています。

 粋で勇み肌の若い衆を「イナセ」と呼ぶのもボラの幼魚名の「イナ(鯔)」
からきており、当時魚河岸の若い衆の間で流行した跳ね上げた髷(まげ)の形
をイナの背びれに例えて「鯔背銀杏」と呼んだことや、若い衆の髷の青々とし
た剃り跡をイナの青灰色でざらついた背中に見たてたことに由来していると言
います。

 ボラの成魚は「トド」と呼ばれますが、これ以上大きくならないことから、
「結局」「行きつくところ」という意味の「とどのつまり」という言葉が生ま
れました。

 ちなみに、年若で未熟な人のことを意味する「青二才」も、一説によるとボ
ラなどの稚魚を「二才魚」または単に「二才」と呼ぶことに由来していると言
い、未熟なことを意味する「青」が合わさりそう呼ばれるようになったとされ
ています。

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